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デキソコナイの戯言

気持ちはいつでもとっても不安定

熱に浮かされて

読書は嫌いではないが、苦手だ。文学部にいたとは思えないくらい、本を読むということが得意ではない。なにぶん、集中力に欠けた性質なもんで、どんなに面白い本を読んでいても少し休憩を挟まないと読んでいられない。DVDを見るときも、途中から本編よりDVDプレイヤーの時間表示にばかり気が向いてしまう。そんなわけで映画もなんとなく苦手だ。

昔からお笑いは好きだ。どちらかというと曲がった方の人間なので、どメジャーなものよりも、深夜番組や深夜ラジオの方を好む。高校入学と同時に聴き始めたくりぃむしちゅーのANNや、祖父の葬儀終わりに初めて聴いて、大爆笑した深夜の馬鹿力になによりの影響を受けてきた。

自己顕示欲と承認欲求の塊がダサい服を着て歩いているような人間なのに、肝心の表現力がまるで無いという、致命的な欠陥を抱えながら生きている。

そんな私ですが、先日、ネットで一冊の本を注文した。

「俺だって日藝中退したかった」

芽むしりさんという方がやっている「石をつかんで潜め」というブログの記事をまとめた、いわゆる「同人誌」だ。私は最初にそのブログを読んだ時、「なんておもしろい文章を書く人なんだろう」と驚きと笑いと嫉妬でしばらく動けなくなった。

自分もお笑いや音楽が好きだと思っていたが、その熱量と愛の深さはあまりにも歴然とした差があった。バッファロー吾郎A先生の言葉を借りるなら、「小学生がエメリヤーエンコ・ヒョードルと闘うようなもの」それ以来、ツイッターもこっそりフォローし、その繰り出される言葉の一つ一つを「味の向こう側」に到達した頃の麒麟田村ばりにかみしめている。

本が出たのも知っていたが、ブログを何度も読み返しているし、見知った内容だろうと決めつけ、注文するのを躊躇していた。しかし、最近になって、ちょっとした心境の変化があり、躊躇していることをなるべくやろうという気持ちになっており、そのテンションに任せて注文メールを送った。いつもブログやツイッターを読んでいてこんなに感銘を受けているという旨を熱に浮かれて書きそうになったが、痛いファンに思われるんじゃないかと思い、慌ててバックキーを押して必要事項といつも読んでいることだけを書いて送信した。

ワクワクしながら日本郵便のサイトでゆうメールの配送日数表を眺めながら、能年玲奈のゆうちょのCMのことを考える日が数日続き、昨日我がアパートのポストに無事投函された。これは下手な読み方できねえなと思い、読む環境をどうするか真剣に考えて、タリーズという選択をし、ロイヤルミルクティーとかわいい店員に薦められるがまま購入したよくわかんねえクッキーを机の上に置いて、イヤホンから星野源を流し、これ以上ないだろう環境を整え、いよいよ読み始めた。

読み始めてすぐに気がついたが、以前何度も読んだブログ記事に所々加筆修正がされていて、その都度読みやすくなっていたり、分かりやすくなっていた。それがまた熱と愛を伝えるための努力の痕に思え、「元の文章でも充分おもしろかったのにそれだけじゃないのか…」と体が熱くなった。一度読んだはずの文章がまた違う文章に思えて、「あ、ここを修正しているな」や「この部分の加筆がすごくハマってて気持ちいいな」と思えて、読んでいた分すごくお得な気分になった。読み進めていって、自分もその番組を見たり、聴いたりしたはずなのに「あーおもしろかった」ですませていたことに気付いて恥ずかしくなったり、逆に「そうそう、俺もそれ思ってたわ」と勝手に親近感を抱いたり、「俺もそろそろお笑いライブをレポに任せてるだけじゃいけねえな、実感が大切なんだよな」と思ったりと、情緒が休まることがないまま、気がつくと3時間半ほど経過していて、隣に座っていた、大きめの独り言をぶつぶつ言っている、迷惑と恐怖が同居した怪人がいなくなっていた。

読み終わって、ロイヤルミルクティーの氷をかみ砕きながら、昔、芸人になりたくて色んな養成所のパンフレットを取り寄せたはいいもののそれだけで満足してしまったことや、「俺もテレビやラジオや好きな音楽のことを書こう」と意気込んで始めたブログがいつのまにか「闇金ウシジマ君」に出てきた鬱ブログの劣化版みたいになっていることなんかをぼんやりと考えながらも、熱は止まらなかった。

いつも他人のブログを読んでは「おもしろいなぁ、よくこんな文章を書けるなぁ」と楽しんでばっかりで、自分が思っていることを表現しないままにしている。私にそんな面白い文章を書ける自信はさらさらないけれど、「まずやってみる」のマサキヨ精神で書くことが私が出来る一歩目なんじゃないか。自意識にまみれたブログは愛の無い人間に嘲笑されても、愛のある人間には届くんじゃないか、それがいかに不器用で、下手くそでも。

本当はこんな感じの感想文を送りつけようかと思っていたんだけど、熱に浮かされてこんな駄文を送りつけた日には後悔と申し訳なさで死にたくなること必至だなと思い、ブログにした。読み返せば読み返すほど、小学生の夏休みの読書感想文にも劣るなと恥ずかしくなったが、よくよく考えれば、小学生のとき担任の教師に「君は文章力が無いね」ってクラス全員の前で言われた日からそこの部分は半ば諦めていることに気づいて、「明日からがんばる」と見過ごすことにした。要は

体の芯から熱くなって、俺もやんなきゃ!って気分にさせてくれる文章を本当にありがとうございました。ってこと。2行で終わる話。

「社会人大学人見知り学科卒業見込完全版」の隣に並べておこう。

じゃあまた。